超小型原子炉の教室 苫米地英人著 2022年7月cyzo刊

(目次)

はじめに

第1章 脱炭素社会の圧力

第2章 新旧交代

第3章 原子力の真実

第4章 超小型原子炉

第5章 原子力と安全保障

おわりに

 

【第1章】【第2章】(略)

【第3章】

 基本的に原子力発電そのものは最新の技術で運用されれば、震災後のようなことが起きない限り、それほど危険なものではない(P88~89)

 商業原子炉に原子爆弾のような核爆発のリスクはない。原子爆弾と原子炉ではウランの濃縮度が一桁違う(P89)

 核爆発が起こるためには、高濃度のウラン(ウラン235濃度20%以上のもの)が必要だが、原子力発電所で使用されるウラン235は、濃度3%~5%。核爆発は全エネルギーを1回の爆発で放出するようつくられているため、その燃料は高密度かつ均一な球体構造をとることが必要。原子炉では、エネルギーを安定的にゆっくりと取り出せるよう核分裂の速度をコントロール⇒100万KW発電では、1キロのウラン235を8時間かけて核分裂させる(P89~90)

 天然ウランでは、ウラン235は0.7%しか含まれないので、濃縮により、濃度をあげる(P90)

 東日本大震災時に福島第一原発の原子炉がメルトダウンしたのは、原子炉を冷やすための冷却水がなくなったため。原子炉が停止し、核分裂の連鎖反応が止まっても、既につくられた放射性物質が崩壊するときに出る崩壊熱が、放射性物質が崩壊しきる(放射性物質半減期)まで発生し続ける(P91~92)

【第4章】

 小型モジュール炉(Small Modular Reactor:SMR)は、小型原子炉の一種で工場でつくって規格化できる原子炉を現地に運んで設置する。出力小。設置が簡単で、炉全体を冷却材の中に沈めてしまうので、安全性が極めて高い(P129)

 2021年11月、ニュースケール・パワー社(米)製作のSMR12基を、ルーマニアが導入することを発表(P130)

 

※このところウラン採掘会社の株価が上昇していることや、火力発電の代替としての原子力発電、小型原子炉の安全性などについて関心があったのでこの本を読んでみた。なので、それ以外の事柄への記述については割愛した。

※ニュースケール・パワー社は、SPACにより上場している模様だが、ティッカーシンボルは分からなかった。

CCJ社は、Forward PE    63.46、2016年から21年までずっとマイナス成長で、2022年にようやく26%の売上成長となっており、今後の収益拡大のかなりの部分を織り込んでいる可能性があることや、現在の株価が2007年4月以来の高水準にあることなどから投資するにはリスクが大きいので、とりあえず断念した。