エリック・バーカー著 橘玲監訳 竹中てる実訳
2017年11月 飛鳥新社刊
(目次)
序章 なぜ「成功する人の条件」を誰もが勘違いしているのか
第1章 成功するにはエリートコースを目指すべき?
第2章 「いい人」は成功できない?
第3章 勝者は決して諦めず、切り替えの早い者は勝てないのか?
第4章 なぜ「ネットワーキング」はうまくいかないのか?
第5章 「できる」と自信を持つのには効果がある?
第6章 仕事バカ~それとも、ワークライフバランス?
結論 本当に人生を成功に導く法則は何か
この本は、エビデンスを元にした成功法則を示すことを目的とする。
1980年代、90年代にイリノイ州の高校を首席で卒業した81人を追跡調査した結果によると、40%が弁護士、医師、エンジニアなど社会的評価の高い専門職に就いていたが、それぞれの職能分野を第一線で率いるほうではなかった。学校はすべての科目でよい点を取るゼネラリストに報いるシステムである。しかし、社会では、特定分野でのスキルが高く評価される。
あまりに利他的なギバーは、人を助けるため自らを消耗し、テイカ-につけ込まれるため、成功からほど遠い業績しか上げられない。
ゲーム理論では、「しっぺ返し戦略」が有効である。⇒初回ラウンドでは協力し、2回目以降は相手が選んだ選択を真似する。「寛容なしっぺ返し戦略」は、これに勝る。⇒単純に相手の出方を真似るだけでなく、たまに裏切られた後でも許し、協力する態度を示す。
エビデンスから学ぶ最強の対人ルールは、次のとおり。
①自分に合った池を選ぶ
②まず協調する
③無私無欲は聖人ではなく愚人である
④懸命に働き、そのことを周囲に知ってもらう
⑤長期的視点で考え、相手にも長期的視点で考えさせる
⑥許す
グリットは、知能や才能がほぼ等しい人々の業績が異なる理由の1つである。グリットは自分に語りかけるストーリー(=ポジティブな心のつぶやき)によってもたらされることが少なくない。
何回デートして最適な相手をどうやって見つけるか(最適停止理論)
①一生の間にデートできる人数を予想する。
②100人と仮定する。
③その平方根を求める。⇒10人。
④10人目までの交際相手を丁重にお断りする。
⑤婚活を継続し、最初の10人中一番良かった人よりいいと思える人に出会ったら、
それが最適の結婚相手である。
成功の1つの要素は人とのつながりである。絶好の機会はつながりの薄い知り合いからもたらされる。なぜなら親しい友人は同一の情報を共有している。したがって、外交的な人のほうが有利である。
人脈づくりの5ステップは次のとおり。
①元々の友人からスタートする。
②スーパーコネクターを見つける。
③時間と予算を用意する。
④グループに参加する。~長年の友人と新しい人たちが混じっているグループが最適
⑤常にフォローアップする。
メンターを得る5原則は次のとおり。
①やれることは全部やってからメンターの目に留まろうとする。
②メンターについて徹底的に調べる。
③メンターの時間を浪費するのは大罪である。
④フォローアップをする。
⑤メンターに誇らしい気持ちになってもらう。
私たちは、時折、精神が動揺した人々を相手にしている。⇒職場の仲間、家族。
彼らは、ただ憤慨して、自分の言い分を聞いて欲しがっているだけである。そのとき、よい結果を得るルールはつぎのとおり。
①落ち着いて、ゆったりしたペースで話す。
②傾聴する。批判しない。
③相手の気持ちに共感する。
④相手に考えさせる。「私に何をしてもらいたいですか」と質問することで、選択肢
を検討し、考えることを余儀なくさせる。
成功するには、楽観主義と悲観主義の両方が欠かせない。
目覚ましい貢献をした人々は長時間労働をしているが、多くの場合働きすぎは成功がもたらす利点より、幸福感やストレスの観点からのマイナス要素のほうが大きい。
仕事の大成功と家庭の円満は両立しない。人には限界があり、バランスのとれた豊かな人生を築くには、自分に合ったキャリアと支えになってくれる最愛の人々が欠かせない。
全ての選択肢を探り、品定めし、最高の物を得ようとする「最大化」は、不可能であり、かつ主観的満足感は低くなる。
自分が必要とするものを考え、そのニーズを満たすと思った最初の物を選択する「満足化」が大事である。よって、最終的な質問は、「私は何を望んでいるか?」である。
成功者となるために重要なことは、「自分はどんな人間か」と「自分はどんな人間を目指したいか」を加味しつつ、そのバランスを調整することである。
社会的成功をもって「成功」の法則を言い続けた挙句に、「仕事の大成功と家庭の円満は両立しない」と言い出すとは!大どんでん返しですな。