生命科学的思考 高橋祥子著 2021年1月ニューズピックス刊

(目次)

はじめに 生命の原則に抗って生きるために

第1章 生命に共通する原則とは何か 客観的に捉える

第2章 生命原則に抗い自由に生きる 主観を活かす

第3章 一度きりの人生をどう生きるか 個人への応用

第4章 予測不能な未来に向け組織を存続させるためには 経営、ビジネスへの応用

第5章 生命としての人類は未来をどう生きるのか

 

 はじめに、第1章、第2章あたりまでは、とてもいいことを言ってるように思う。

・個人が抱える不安や怒りなどの負の感情の多くは、「自分の生存が脅かされているのではないか」という生物的な危機意識に起因している。

・生命には完全には解明されていない謎も存在するが、個体として生き残り、種が繫栄するために行動するという生命原則が存在する。

・思考とは、生物学的には多くのエネルギーを消費する行為であり、思考しなくてもよい環境であれば、生物は極力思考しないことを無意識に選択する。

・生命の機能は、できる限り個体の保存や繁栄に有利になるように、不要なものをそぎ落とし、最適化する方向に進んでいるので、生物として非効率に見えるものに注目することで本質が見える。

・生命原則は、個体を取り巻く外界の環境が常に変化するものであることを前提に作られており、環境変化のスピードが大きく個体が連続性を保ったまま適応することには限界があることから、新しい生命を常に作り続け、入れ替わりに古い生命が死ぬ。つまり、個体の死は、生命原則に基づく生命活動の一部である。

・感情は、生きていくための危険を察知し、その危険から逃れたり、排除するために必要な機能である。よって、ネガティブな感情を抱いたときは、遺伝子に搭載された機能が正常に働いていると客観視する。

・辛事は理、幸事は情をもって処す。

・本能的な行動、欲求は、個体として生き残り、種が繁栄するという原則に基づく。子供がわがままで、すぐ泣くのは、自分一人だけでは生き延びれないので、周囲に頼るしかないためであり、周囲の人たちの注意を引くためにアピールする機能が働いている。

・生命の仕組みが完璧でないのは、外界の変化に適応するため、不安定性の担保に命を懸けているから(不安定性により、外界の変化に対応しようとしているから)

・外科医の変化に適応するための手段の一つとして、生物は多様性を保有している。多様性は、生物が命を懸けて作り出してきた生命の最大の特徴。

・課題のほとんどは、それが解決された状態を私たちが主観的の望むことで、初めて課題として存在する。

・課題は、行動を起こさないままやってくる未来と、行動を起こした時の未来の差=未来差分を意識することから生まれる。