(目次)
はじめに
第1章 「糖尿病」と診断されて
第2章 わが糖尿病体験を語る 食事編
第3章 わが糖尿病体験を語る 血糖モニター編
第4章 わが糖尿病体験を語る 運動編
第5章 区別が必要な「高血糖症」と「糖尿病」
第6章 メタボリックシンドロームとしての糖尿病
第7章 糖尿病薬の作用と副作用
第8章 治療法の選択肢
第9章 天寿を全うする知恵
おわりに
【第1章】
私(著者)が糖尿病と医師に宣告されたのは53歳の夏。空腹時血糖値が血液100ml中260㎎。ヘモグロビンA1cが12.8%(P16~18)
健常者は、食後、最高でも180㎎程度に抑えられ、2時間経過で元の値(70~110㎎)に戻る(P30)
【第2章】
ブドウ糖は、体全体のエネルギーの元なので、不足はまずい。70㎎/100ml程度は必要。これ以下だと、低血糖の症状、寒気や震えが出て、失神、昏睡に至る(P36)
細胞内にブドウ糖が取り込まれるには、インスリンが必要。細胞膜には、インスリンレセプター(インスリン受容体)があり、インスリンを感知してキャッチする。インスリンをキャッチすると、細胞内のセンサーが反応して、GLUT(ブドウ糖トランスポーター)を細胞表面に押し出して、ブドウ糖が細胞内に流れ込む(P37)
糖尿病は、インスリンが足りなくなって、細胞内にうまくブドウ糖を取り込めなくなったために起きる病気。中年以降に発症する2型糖尿病は、膵臓が疲れて、インスリンの分泌能力が衰えているが、まったくインスリンが分泌されないわけではない(P38)
血糖値を低く抑えるために、摂取カロリーを低く抑える必要がある。医師と相談して、とりあえず、1日の摂取カロリーを1600キロカロリーと決めた。制限カロリーを守るために、脂肪の摂りすぎを抑えた(P41~43)
◎2型糖尿病では、インスリンの出が悪くなっている、あるいはインスリン受容体が十分に機能していない状態にある。直接的には、摂取カロリーの問題というより、摂取する糖の量が多すぎて、膵臓が疲れた状態にある。なので、(必要な量の糖を確保しつつ)糖の摂取を制限することでカロリーを制限するという方向になるべきだろう。
【第3章】
食べ始めて30分くらいで、ものによっては1時間くらいで、血糖値がピークになる。ピーク時には、血糖値が250~300㎎/100mlになるが、運動をすれば50~100㎎/100ml下がった。食後眠くなるときは血糖値が300㎎/100ml近くになっていた。糖尿病患者は、軽く300㎎/100ml以上に上がり、2時間たっても200㎎/100mlある(P58)
GI値は、食後2時間、あるいは3時間の血糖の状態で決められている。GI値が低いはずのスパゲッティを夕食に食べると、翌朝の血糖値がいつもより高い。スパゲッティは消化・吸収に時間がかかり、2~3時間値は低くても、その後徐々に消化されて、夜中に吸収されるので、翌朝の血糖値が高くなる。なので、GI値だけで食べ物を選ぶのは時機尚早である(P61~62)
【第4章】
糖尿病の合併症は、ヘモグロビンA1cが9%以下で、その危険性が急激に減る(P73)
◎P72の図を見る限り、7%を超えたあたりから急激にリスクが大きくなる。
運動が血糖値を下げる効果は予想以上で、昼はそこそこいいが、夕食後2時間の8時頃は、200㎎/100ml以上ある場合がしばしばあった。30分ウオーキングするだけで、血糖値は120~130に落ちた。そうやって、夜間の血糖値を低く抑えるのがヘモグロビンA1cを低く保つ(P75~76)
食前の運動より食後の運動のほうが効果的。激しい運動をすると、その分肝臓のグリコーゲンの分解が増えて、逆に血糖値が上がる。よって食後30分歩くのが血糖コントロールに一番いい(P82~83)
【第5章】
血糖値が高いだけで、まだ合併症や他の症状が出ていない場合は、高血糖症と呼び、合併症等が出ている場合のみ糖尿病と呼ぶべき(P86)
糖尿病診断基準の空腹時126㎎/100mlという値は、欧米の糖尿病疫学研究をベースとしている(P89)
【第6章】
インスリン抵抗性とは、細胞膜のインスリン受容体の感度低下により、インスリンの利用が不十分な状態。インスリン抵抗性が増すと、膵臓がより多くのインスリンを分泌し、結果的に膵臓のランゲルハンス島β細胞の疲労を招き、糖尿病の引き金となる(P105)
脂肪が増えると、脂肪細胞は、レプチン(ホルモン)を分泌し、満腹中枢(脳視床下部)を刺激し、食欲を低下させ、消費エネルギーを増やす。肥満では、レプチンが満腹中枢と反応しなくなり、肝臓や血管に働いて非アルコール性脂肪肝炎、動脈硬化を促進する(P105)
メタボリックシンドロームは、肥満が基礎にあり、高脂血症、高血圧、高血糖の症状として表れる。なので基本的な食事療法、運動療法が、個別の治療に先行すべきであり、個別の症状に対する薬物療法(高脂血症薬、血圧降下剤、血糖降下剤)は問題が多い(P108)
【第7章】
αグルコシダーゼ阻害剤(P118~119)
腸からの糖質の吸収を阻害。小腸粘膜に局在する二糖類の分解酵素の作用を阻害してブドウ糖の吸収を抑える。アカルボーズ、ボグリボース
分解しきれなかったオリゴ糖は、腸内細菌の餌になる。放屁、下痢、便秘、低血糖症状(腸閉塞様症状、肝機能障害)
β細胞を刺激し、インスリンの生産を高める。
グリクラジド、グリベンクラミド、トルブタミド
弱っている膵臓をさらに鞭うつ→数年内に膵臓の機能廃退→インスリン注射に移行
ビグアナイト剤(P121~122)
膵臓の機能とは無関係に作用し、肝臓の糖新生を抑制、解糖作用を刺激し、腸管からのブドウ糖吸収を抑制。ブドウ糖は肝臓にグリコーゲンとして一時貯蔵。筋肉、脂肪へのブドウ糖取り込みを促進。AMPキナーゼを活性化(運動による効果を薬で得る)インスリンレセプターの感受性をあげる。塩酸メトホルミン。重大な副作用として、血中乳酸値上昇による乳酸アソドーシス、胃腸症状、倦怠感、筋肉痛、過呼吸、低血糖。長期投与によるビタミン12吸収低下。劇症肝炎
合併症を防ぐためには、血圧を正常範囲にすることで、血糖を下げる以上の効果が得られる(英での研究)(P129)
◎マリゼブ錠:持続性選択的DPP-4阻害剤(インクレチンを分解する酵素を阻害)
【第8章】
耐糖能異常者3千人を3年間追跡。1年あたりの糖尿病発生率を比較(米国の研究)
①生活習慣を改善させる群4.8%、②メトホルミン投与群7.8%、③プラセボ服用群11%(P139~140)
8% 200
9% 300
11% 400 (P142)
【第9章】(略)