(目次)
はじめに
第1章 なぜ乳がんになるのか
第2章 乳がんの診断
第3章 乳がんの手術
第4章 乳がんの術後
第5章 乳がんの治療薬
第6章 乳がんの食事療法
【第1章】
すべての臓器も動物も同じ10ミクロンの大きさの細胞によってできています
人体は50兆個の細胞からできており、1個の受精卵が40回の分裂で1兆個になる
生まれたばかりのときは死ぬ細胞より生まれる細胞が多いので、体は大きく成長していく。思春期になるとテロメアが短くなって死ぬ細胞と生まれる細胞の数が同じになるので、成長が止まる。テロメアがさらに短くなると体は老化を始め、テロメアがなくなると細胞が分裂しなくなってヒトも死ぬ(P17)
※細胞の死はテロメアが制御するが、組織ないし個体としてのヒトが死ぬのは、需要な組織が機能しなくなったときであって、テロメアのせいではない
細胞分裂が限界に達したとき、テロメアの複製酵素テロメラーゼをもった修復細胞が生まれ、永遠に細胞分裂を続ける。それをがんという。つまり、「がんとは不摂生によって炎症が生じた粘膜に発生する修復細胞」といえる(P20)
※がんは永遠に細胞分裂を続けるが、それが「細胞分裂が限界に達したとき」に生じるという根拠はどこにある?
【第2章】
細胞診では、細胞をとって細胞の「顔つき」を調べる(P32)
良性:ⅠとⅡ
グレーゾーン:Ⅲa:良性寄り
Ⅲb:悪性寄り
悪性:ⅣとⅤ
ステージ(病期) がんの大きさ リンパ節の硬さ 病期
ステージ0:0期: 非浸潤がん(前がん状態)
ステージ1:Ⅰ期:2㎝以下 硬くない 早期乳がん
ステージ2:Ⅱ期:2~5㎝ or 数個硬い やや進行した乳がん
ステージ3:Ⅲ期:5㎝超 or たくさん硬い 局所進行乳がん
ステージ4:Ⅳ期:肺や肝臓に転移 遠隔転移乳がん
術前の病期判定より、術後の病理診断が正しい(P44)
【第3章】
⇒がんに一番近いところにあるリンパ節への転移の有無を調べる(P63)
・がんのしこりの大きさ
1㎝以下: 1%
1∼2㎝ :26%
2㎝超 :33%
局所再発率 局所再発率
・乳房温存術:放射線をかけない:39%
放射線をかける :14%
・全摘 :3~6%
エビデンス(P95)
・生存率(寿命)は、全摘と乳房温存術で変わらない
・リンパ節をとってもとらなくても、生存率は変わらない
・再建してもしなくても、生存率、局所発生率は変わらない
・放射線をかけると局所発生率が1/3に減少する
・抗がん剤やホルモン療法をすると生存率が、1/3向上する。併用すると1/2向上する
【第4章】
脊髄麻酔は、脊髄神経をブロックする。ブロックしたところから下は筋肉も麻痺して動けなくなる。麻酔薬が脳のほうに流れれば、呼吸も止まってしまう(P112)
硬膜外麻酔は背中から1㎜ぐらいの太さの管を入れて、脳の知覚神経である肋間神経をブロックする。局所麻酔の一種。全身麻酔より安全。無痛分娩、四十肩の治療にペインクリニックで使用される(P113)
手術後、病理医による病理結果のコピーをもらう(P115)
(手術後の4つの自立)(P118)
・自立歩行
・自立排泄
・自立摂食
・痛みからの自立
アメリカでは乳がん手術の80%が日帰り・一泊手術(day surgery)で行われている(P119)
(クリニカルパス:手術直後の行程表)(P122~P123)
①意識状態を調べ、麻酔から覚めていることを確認
②血圧・体温測定
③採血により貧血を生じてないことを確認
④創部に血が溜っていないことを確認
⑤電動ベッドの頭部を徐々に上げる
⑥少しずつ飲水開始
⑧点滴の針、硬膜外麻酔の針を抜く
(帰宅後の留意事項)(P124~125)
・帰った日はのんびりする
・入浴する
・身の回りのことを自分でする
・外に出てみる
・仕事に復帰する
・スポーツや旅行を楽しむ
・夫や恋人との愛を深める
筋肉痛は使い過ぎ、肩こりは使わなさすぎ(P134)
(リンパ浮腫の原因)(P136~P137)
・リンパ節郭清
・放射線照射:確率4%
・リンパ節転移
・感染症
(リンパ浮腫の予防)(P138~P139)
・傷つけない
・注射しない:晴れのある腕で血圧測定や注射針を刺したりしない
・化膿させない:皮膚が傷ついたらすぐ洗浄して抗生物質を服用。化膿したら受診
・締め付けない
・温めすぎない:サウナ、スチーム、浴槽につかるとき注意
・太りすぎない:理想体重を維持
・腕を動かす
回復徴候とは、術後数か月で痛みに過敏になること。神経の切り口から新しい神経が生じるが、神経がむき出しの状態のため過敏になる(P140)
【第5章】
C:シクロフォスアミド:アルキル化剤
F :5-フルオロウラシル:代謝拮抗物質
A:アドリアマイシン:抗がん性抗生物質のアントラサイリン系
E:エピルビシン:抗がん性抗生物質のアントラサイリン系
T:ドセタキシル、パクリタクセル:植物アルカロイドのタキサン系
どの抗がん剤が効くかわからないので、いくつかの抗がん剤を組み合わせて効果の増強と副作用の減少を図る(多剤併用療法)(P149)
抗がん剤は身体のダメージが大きいので、休みを取りながら一定間隔で繰り返す。AC療法、FAC療法、EEC療法は3週に1回投与(P149)
抗がん剤は、がんの細胞分裂を止める薬なので、身体のほかの部分でも細胞分裂が盛んな組織は障害を受ける
⇒消化管の粘膜:吐き気、下痢、食欲不振
⇒髪の毛:脱毛
⇒骨髄:貧血、止血しにくい、免疫力低下
⇒卵巣:閉経
がんの予後因子:病理医が顕微鏡で見て判定(P162~P163)
・リンパ節転移
・がんの大きさ
・リンパ節・脈管侵襲
・グレード:がん細胞の不揃いさかげん
・HER2:転移しやすくなるがん遺伝子
・ホルモン受容体:ER(エストロゲン受容体)、PgR(プロゲステロン受容体)
・Ki67:がんの増殖能(大きくなるスピード)
・~10% :ゆっくり
・10%~30%:中程度
・30%~ :スピードが速い
遠隔転移したときの補助療法(P170~P171)
根治できないので寛解を目指す。症状を和らげ、がんをおとなしくさせる目的⇒単剤使用、長期(生涯)、少量投与
【第6章】