自然治癒力が上がる食事 小峰一雄著 2018年11月ユサブル刊

(目次)

はじめに

第1章 最新医学が証明した歯と全身の関係

第2章 抜歯・抜髄が招く恐ろしい全身の病気

第3章 抜髄した歯と病気になる内臓は決まっている

第4章 虫歯を削らずに治す方法

第5章 歯周病は食事療法で治る

第6章 虫歯・歯周病の食事療法が生活習慣病を治す

第7章 合わない入れ歯が病気をつくる

第8章 予防が認められない日本の保険診療の問題

 

【第1章】

(歯の構造及び象牙質内の液体移送システム Dentinal Fluid Transport)

 歯の表面は硬いエナメル層で覆われており、無数の穴(エナメル小柱間)が空いている。その内側には、象牙質(エナメル層より柔らかい)があり、境目は象牙細管エナメル象牙境と呼ばれる(P16)

 ラルフ・スタイマン博士とジョン・レオノーラ博士(米ロマリンダ大)がネズミの腹腔に「放射性同位元素」を注射したところ、6分でエナメル象牙境に達し、1時間未満でエナメル小柱間から歯の表面に出てきた(DFT現象)(P16)

 歯の内側から外側へと常に液体が染み出ていることから、歯は石のような塊ではなく、隅々まで栄養が行き届く機能を備えた臓器だということがわかる(P16~18)

 万一、歯茎の中に歯周病菌が入り込んだときも、DFTの液体に含まれる免疫細胞が菌を退治し、歯周病が発症するのを予防してくれる(P19)

 DFTは、あるスイッチが入ると逆流し始める。すると口内の無数の細菌が歯の中に入り込み、虫歯をつくり、ついには体内に入り込んで全身の病気を引き起こす(P19)

 一般に、虫歯は歯の表面から進むと言われる。ミュータンス菌とラクバチルス菌が糖分を餌として酸をつくり、この酸が歯の表面のエナメル質を溶かし、奥へ奥へと進行していく。この説は間違いではない。しかし歯の表面がきれいでも、内部が溶けている症例も数多くみられ、これだけでは説明できない。よって、虫歯は内側から進むこともある。このような虫歯をつくるのはDFTの逆流である(P20)

 スタイマン博士らは、DFTの逆流を引き起こすスイッチとして次の5つをあげている。

①砂糖の摂取、②ストレス、③運動不足、④ビタミン・ミネラル不足、⑤薬剤の服用(P22~)

※スタイマン博士らが放射性同位元素の注入の実験を通じてDFT現象を発見したことについては記載されているが、「DFTの逆流」という現象が存在することやその原因についてスタイマン博士が主張したことやその根拠についてはは格別の記載がない。その意味で、ここから先の記述については、真実と認められたものというよりは、著者の主張(仮説)レベルの話と位置付けるしかない。(あくまでも、「DFTの逆流」の原因としての①~⑤についてのことであり、①~⑤が「避けるべきもの」であることについては異議はない。)

 

(糖反射)

 人間は砂糖を摂ると胃と十二指腸の働きが一時的にストップしてしまう。食前に砂糖を摂取すると、胃腸が十分に働かないまま食べものが送り込まれることになる。するとビタミンやミネラルなど必要な栄養素が摂取できず、消化不良を起こす(P33)

※ヒトの胃は1分間に約3回ほどのペースで動いている。胃に糖が入ると胃の動きが止まると言われている。被験者に砂糖水を飲ませると、数十秒間胃腸の動きが完全に静止し、逆に塩水を飲ませると、胃腸の動きが急に活性化した。量的には角砂糖の1/4-1/5個くらいで起こる。糖分は唾液、胃液、腸液で5.4%等張液として消化吸収され、大量の糖分を摂取すれば1時間以上に亘って停滞が起こるとされる。糖は細胞に対して絶縁物質として作用し、神経信号の伝達を阻害するのではないかと考えられている。糖分は静脈の弛緩をもたらすとともに血液粘度を上げ、血流の遅滞が起こり、組織や静脈に老廃物が蓄積することで様々な病気が発症することがある(wikipedia ただし根拠の記載がないとの注釈がついている)

 

 スコット・テイラー博士(米:歯科医師)は、血糖値をゆっくり上昇させることがDFTの停止や逆流を防ぎ、結果として虫歯の予防が可能としている。テイラー博士が提唱する血糖値をゆっくり上昇させる方法は、次のとおり

①ホールフーズを食べる

GI値の高い食物を避ける

脂溶性ビタミンを摂取する。(P35~38)

(著者推奨の他の方法)

①炭水化物を摂る前に食物繊維を摂取する

②1日の食事回数を減らす。

 食べる回数が多ければ多いほど、血糖値が上がる回数が増え、それに比例してインシュリンの分泌も活発になる。反対に食事回数を減らしたり、血糖値をゆっくり上げるような食事をすると、インシュリンがコントロールされて分泌するため、空腹も感じにくくなる(P41)

③断食する

④よく噛んでゆっくり食べる。最低でも1時間、できれば2時間かける

※②の記述には賛同できない。1日に食べる量が同じで、それを1回で食べるか、3回に分けて食べるかということであれば、前者のほうが血糖値の上昇度合いは大きくなるし、インシュリンも大量に分泌されるはずである。

 

【第2章】

 痛みをとるには神経をとってしまえばいいという対症療法であって原因療法ではない。歯髄の痛みの原因、歯髄炎は、自然に治ることが多い(P50)

※歯髄炎に関する一般的な説明は次のとおりであり、「歯髄炎は、自然に治ることが多い」のではなく、「急性で軽い場合は、冷たい飲み物や食べ物、冷たい空気などのちょっとした刺激で痛みを感じることがありますが、こういった場合は一過性ですぐに痛みが治まってしまう場合が」ある。つまり、「自然に治った」のではなく、痛みが治まっただけと考えるべきだろう。

※無論、神経を抜くのは最後の手段であって、できるだけ温存する治療法が望ましいことは言うまでもないが、「歯髄炎が自然に治る」との主張のもとに、抜髄を一切認めないというのは無理がある。

「歯髄炎とはどんな病気か
C1、C2の軽度の虫歯から引き続いて起こる病気で、歯髄(歯の中心部にある神経や血管の通っている部位)に細菌が入り込み、感染して炎症をおこしたものです。

症状
急性で軽い場合は、冷たい飲み物や食べ物、冷たい空気などのちょっとした刺激で痛みを感じることがありますが、こういった場合は一過性ですぐに痛みが治まってしまう場合があります。症状が中度に進行してくると、温かい飲み物を飲んでもズキズキと耐えがたい痛みが定期的に繰り返し起こり、さらに症状が悪化してくると常時痛みが続くようになります。なかには、普段は激痛がなくて、虫歯の孔に食べ物が入ってきた時に痛む慢性の歯髄炎もあります。慢性になると、痛んでは自然に治まることをくり返すようになります。

原因
一番多いとされる原因は、虫歯を治療せず放置してしまったため、エナメル質に孔があき、その下の象牙質が崩壊して歯髄にまで達する孔があいてしまい、歯髄が虫歯の細菌に感染して炎症をおこすものです。

激痛がおこるのは、歯髄が炎症をおこし、歯髄のなかに通っている血管が拡張し、充血して血液量が増えるからです。歯髄は硬い象牙質で囲まれているため、血液量が増加すると、歯髄内の内圧が高まり、神経線維が血管に強く圧迫されて痛みがおこります。  深く孔のあいた虫歯や虫歯を治療した歯が、冷たい飲み物などに敏感に反応して痛んだり、就寝時に痛んだりする時は、歯髄炎と考え、出来るだけ早急に歯科医院での治療を受けましょう。

治療
痛みのある患部に局所麻酔をして、歯髄を取り除き(抜髄)ます。歯髄が通っていた患部に薬剤を詰めて塞ぎ(根管充填)、孔のあいた歯にインレー(詰め物)やクラウン(被せ物)などの終末処置をおこない咬めるように機能回復の治療をします。患部の症状や状態にもよりますが、治療が完全に終了するまでは少なくても5~6回の通院が必要となります。」(以上、中川歯科クリニックのHPから引用)

 

 歯の神経を抜くと歯周病になります。血流が途絶えて死んでしまうため、体が異物反応を起こして、歯を押し出そうとするからです。神経が生きていれば、DFTの働きにより、歯の象牙質やエナメル質の隅々にまで栄養や水分が運ばれます。そして虫歯の発症を防いだり、歯の中にできた小さなヒビなどを自然に修復してくれる(P51~52)

 歯と全身はDFTによってつながっています。ですから抜髄や抜歯は、全身の病気を引き起こすこともあり得るのです。それが、歯性病巣感染。ボーンキャビティ、菌血症です。歯性病巣感染とは、神経を抜いた歯の中に細菌が繁殖し、体中に感染することです(P54~56)

※「病巣感染とは、体の中のある場所に病気の原因となる病巣ができ、そこの細菌が血流にのって全身に運ばれることにより、他の臓器に感染し、病気が引き起こされることです。その病巣が「歯」にあるとき、それにより体の病気につながる場合に歯性病巣感染と言います。」(かさい歯科クリニックのHPから引用)

※要するに「神経を抜いた」の部分は余計で、「歯の中に細菌が繁殖し、体中に感染すること」を「歯性病巣感染」という。そこでの病巣としては、歯周病、虫歯がイメージされているが、実は「抜髄後」が最もリスクがあるとしている歯科医院もあるので、あながち的外れでもないのかもしれない。

 

 歯の根は、歯茎との間にある歯根膜と呼ばれる繊維でくっついている。この歯根膜は抜歯をしても歯茎の骨の中に残ってしまう場合があり、その周囲を強力な繊維で包み、空洞をつくる。この空洞をボーンキャビティといい、その内側は細菌の温床となり、病巣感染同様、全身の臓器に細菌や毒素を送る(P56~57)

 ボーンキャビティの治療は、「ストリークレーザー」を使ったレーザー治療で行っている。手術は菌血症を起こす恐れがあるほか、麻酔効果の高い血管収縮剤入りの麻酔を使いたくないからです(P59~60)

 歯原性菌血症とは、抜歯をした傷や出血した歯茎から口の中に棲む細菌が血液中に入り込み、全身を巡る症状です(P60)

 歯性病巣感染、ボーンキャビティが、神経を抜いてDFTが正常に流れなくなったことに起因するのに対し、歯原性菌血症は血管に細菌が入り込むという点で原理は異なります(P60)

※歯性病巣感染と歯原性菌血症との違いについての著者の説明には納得感がない。病巣感染の定義(かさい歯科クリニックのHP)からすると、歯性病巣感染の病原菌が血流にのって他の臓器に感染を起こすのが前者で、後者は、口の中の常在菌が血液に入って、他の臓器で悪さをするということを指しているように思える。(もう少し他の本に当たる必要がある)

 

【第3章】(主張の根拠となるデータが示されていないので何とも言えない)

 

【第4章】

(小峰式完全予防歯科プログラム)(P74~)

①唾液のpH測定+全身の健康状態把握(低体温、自律神経の乱れがないか)

②口腔内の視診

 ・虫歯になりにくい歯かなりやすい歯か

 ・歯周病になりにくい歯茎かなりやすい歯茎か

 ・噛み締めの有無、顎関節の状態

 ・歯茎での重金属の貯留の有無

 ・血流状態、歯石・歯垢の有無、その他

③虫歯レーザー診断

④虫歯があれば、その葉の神経状態(炎症の有無)の確認

歯周病の検査

⑥食事指導 

 

(唾液の量が必要)

・唾液には抗菌作用がある

・酸を中和する

・唾液はアルカリ性であることが必要(pH6.2以下のヒトのほとんどはがんに罹患)

(唾液分泌量減少の原因)

 ・薬剤

 ・塩と砂糖

 ・ストレス

 ・水分不足

  コーヒーや紅茶は、利尿効果が高く、いくら摂っても尿として排泄される

※コーヒーや紅茶の利尿効果と水分不足を結ぶつける根拠は乏しいと思われる。水分摂取から尿としての排泄までの時間が短いのは事実だが、水分不足を主張するのであれば「摂取した水分量<排出した水分量」であることを検証しなければならないが、そのような実験結果は見当たらない。

※なお、「コーヒーの約98%が水分でできています。これにより、コーヒーは実質的には水とほとんど変わりない、優れた水分補給源となります。利尿作用があるとされていますが、摂取した水分が体内に十分留まります。これにより、コーヒーは水分補給に十分適していると言えます。」との見解もある。

 

 歯髄炎になると、砂糖を含む甘い食べ物を摂取したときに冷たいものが染みるようになるが、この段階ではシュガーカットで痛みを抑えることが可能です。歯髄炎はDFTが逆流したとき、口の中の細菌が歯に入り込んで起こります。その逆流を引き起こすスイッチとなるのが砂糖ですから、痛みを抑えるには砂糖を摂らないことが大前提になります(P84)

 冷たいものより暖かいもののほうが染みるようになった段階では、神経はほとんど機能しておらず、内側が炎症を起こしているので自然治癒は難しい(P85)

 

(ドックベスト療法):保険適用外=自由診療

 ドックベストセメントはCooly&Cooly社(米ヒューストン)が開発。殺菌作用のある銅2%、鉄1%、複数のミネラル含有

①ドックベストセメントを虫歯の穴に詰める

②仮のセメントで封鎖し、1~2年間経過観察 ~ 再石灰化

③虫歯が治ったことを確認し、最終仕上げ

 

(小峰式治療法)(P91~92)

①患部に超高濃度麻酔液を塗り、レーザーで歯に小さな穴をあけて内圧を開放し、痛みをとる。痛みの原因は、密閉された歯の中に白血球が流れ込んで内圧が上がっているから

②炎症を起こしている神経を特殊ストリークレーザーで焼き切る

③歯髄診断機で歯の神経の状態を確認

 

 多くの歯科クリニックで使用されている麻酔薬は、その効果が患部に留まって長く続くよう、血流を止める血管収縮剤が含まれている。しかし、歯茎の血流が1~2時間止まると、その間に細菌感染したり、最悪の場合組織が死ぬことがある。なので、当院では血管収縮剤が入っていない麻酔薬を使っている(P92~93)

 

(ローレベル・レーザー治療:LLLT(Low Level Lazar Therapy))(P94~96)

①レーザービームを歯の神経に照射し、歯の神経内の血流を数倍速くして白血球を増やすことで自然治癒促進(間接療法)

  ~痛みが治まらないとき~

②麻酔なしで炎症を起こした神経部分のみレーザーで除去(直接療法)

③健康な神経のみ残して、ドックベストセメントで封鎖

 

(歯の根の治療)(P96~98)

①歯茎からのアプローチ法

 ・血管収縮剤未配合の麻酔を実施

 ・歯茎から膿が出ている穴から高周波チップを差し込み、根の先を200~300℃で照射

 ・(又は)ストリークレーザーで炎症部位に1万分の1秒、2700℃の熱を照射

②歯からのアプローチ法

 ・歯の表面側から根の先まで削って穴を開け、薬や器具が届くようにする

 (一般的に行われている方法だが、成功率が低いのであまり使っていない)

 

【第5章】

 日本では歯周病は細菌感染症であるとされているが、原因菌とされるAA菌とPG菌は多くの人の口の中に存在するが、発症する人としない人がいる。  

 AA菌:アクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンス菌

 PG菌:プロフィロモナス・ジンジバリス菌

 アメリカの歯周病学会では「歯周病になるかならないかは、歯周組織の細胞環境に関係がある」としており、①炭水化物の過剰摂取、②カルシウムの摂りすぎ、③マグネシウム不足としている(P100~102)

 日本の歯周病対策は、歯周病菌の原因となる歯垢をブラッシング等で取り除き、それでも治らない場合は抗生剤療法がおこなわれる。しかし、抗生剤は、腸内細菌まで死滅させるので、服用後しばらくすると全身の免疫力が著しく低下し、さまざまな病気を発症させる恐れがある(P101)

※抗生剤に関する部分に賛成。抗生剤は使わないに越したことはない。

 血液中の一定濃度以上の余分なカルシウムは別の場所に運ばれ、組織や臓器で石のように固まる(異所性石灰化)(P104)

 脳細胞で石灰化するとアルツハイマーに、目の水晶体に入れば白内障を起こす。沖縄より北海道で白内障患者が多いことから、白内障は、紫外線が原因ではなく、乳製品に含まれるカルシウムが原因と考える(P104)

※異所性石灰化の一般論はともかくとして、アルツハイマー白内障に関する著者の意見はずいぶん乱暴であり、にわかには賛同し難い。

 

 骨粗鬆症の原因は、カルシウム不足ではなく、運動不足であり、高齢者が圧迫骨折を起こすのは、骨の周囲の筋肉の衰えが原因(P105)

※運動不足も骨粗鬆症の一因だし、筋肉の衰えも一つの要素ではあるが、骨を作っているのはコラーゲンであり、コラーゲンの劣化が骨粗鬆症の主因だろう。

 

 歯周病の原因として、ほかに④オメガ3不飽和脂肪酸の摂取不足、⑤塩分の過剰摂取がある(P105~107) 

 

【第6章】

 虫歯の食事療法は、以下の病気も治癒あるいは改善する。①糖尿病、②うつ病、③アレルギー、④認知症、⑤抗老化(アンチエイジング)(P113~118)

 糖尿病の原因は、単に糖質の過剰摂取だけの問題ではなく、肉や卵、乳製品などの動物性たんぱく質に含まれる脂肪が筋肉や肝細胞に蓄積し、その飽和脂肪酸インシュリンの働きを悪くしてしまう(P123~124)

※過剰な脂肪細胞がインシュリンの働きを悪くするのは事実だが、その原因を飽和脂肪酸のみであるかのような記述には違和感がある。

 

 過去に行われた糖尿病の大規模研究では、薬剤等で無理やり血糖値を下げると予後が悪いとの論文が多数ある(P127)

※厳格な血糖値コントロールの予後が悪いことは周知の事実である。なので、現在は「緩やかな」血糖値コントロールが行われている。「厳格な」コントロールが否定されているだけで、「投薬」が否定されているわけではないことに注意が必要。食事療法だけでコントロールが可能であれば、それに越したことはないが、できないときどうするかという問題だろう。

※以下、各種がんについての記述があるが、所詮専門医でもなく、自らの「食事方法」に引き寄せた記述なので省略

 

【第7章】

 歯を抜くと歯茎の骨が溶け始め、瘦せ細ってくるため、口に合わせてつくった入れ歯が徐々に合わなくなってくる。さらに歯を抜くと時間経過とともに、上あごは歯茎の山が内側に移動してアーチが狭くなり、下あごは外側に移動してアーチが広くなる。その結果、噛み合わせの軸がずれ始め、上手に噛めなくなる(P144)

 入れ歯が口に合っていないと安定してうまく噛めないので、緩衝材が必要になる。その役割を果たすのが唾液である。よって入れ歯の快適さは、唾液の量で決まる(P147)

 人工歯(入れ歯、インプラント)は患者が違和感を覚えないようにするために噛み合わせを低めに設定するが、その場合、次のような問題が起こる。①口内炎、②見た目、③難聴など(P148~151)

 入れ歯のピンク色の歯茎部分はスポンジのように小さな空洞が空いていて、これが水分を吸収することで、乾燥しにくく、口への吸着が安定するようになっている。しかし、空洞の中に細菌が棲み着くリスクがある。入れ歯を洗浄するときは、できるだけ薬剤を使わず、超音波洗浄機を使うほうがよい。入れ歯は消耗品である(P152~155)

 

【第8章】

 保険診療は点数で表現し、患者1人あたりの1か月の平均点(平均の請求金額)が高いクリニックは個別指導を受ける。その指導を避けるため、医療機関は、患者1人当たりの平均請求金額を下げようとして、1回の治療を少なくして、治療回数を増やす(P162)

 現在、歯の被せ物として使用している金属は、世界基準では、一定期間のみ認められる金属で、永久使用は認められていない(P163)

 

※総じて、予防医療に関する記述に異論はない。