近藤祥司著 2015年7月日本評論社刊
(目次)
第1章 老化先進国日本の直面する老化の多様性
第2章 臓器老化~正常の欠乏か、異常の蓄積か
第3章 人類進化上、最大のイベント~2足歩行
第4章 ヒトは細胞とともに老化する
第5章 酸化ストレス仮説から見えてきたミトコンドリアの正体
第6章 細胞老化とは必要悪か
第7章 細胞周期老化仮説
第8章 退化した再生力と再生医療
第9章 慢性炎症~免疫のトレードオフ
第10章 カロリー制限仮説
第11章 飢餓の記憶と現代の飽食~かつての生存戦略に長寿を学ぶ
第12章 老化のペースメーカー
第13章 加齢性疾患(生活習慣病)と老化~発症は進化とのトレードオフ
第14章 これからの老化学
進化とは、部分改良の集積であり、大々的な基本設計図変更は滅多に行われない。トレードオフにより新たな不都合を生じたときは、何万年もかけて進化適応により問題解決を図る。
2足歩行により、個体サイズの巨大化、手の自由度の増加、脳のサイズの拡大等を得たが、そのためには大量の熱産生が必要であり、ミトコンドリア由来の酸化ストレスが拡大した ⇒ トレードオフ
老化の酸化ストレス仮説からミトコンドリア仮説へ
体内の酸化ストレスの90%以上は、ミトコンドリアから発生することが判明した。
ミトコンドリアから生み出される酸化ストレスが臓器障害、老化の原因である。
細胞周期とは、細胞分裂の1サイクル=G1期~S期~G2期~M期
S期=DNAが複製される
M期=複製された遺伝子情報が、姉妹染色体として娘細胞に分配される。
チェックポイントとは、細胞周期停止を命じる機構。チェックポイントが欠失した細胞はがんになりやすい。
老化しない細胞=がんでは、解糖系代謝が亢進している。~固形腫瘍の中心部は相対的に低酸素、低栄養状態であり、発がんにおいて、解糖系代謝は重要である。
MUSE細胞=多能性を持つ幹細胞。
赤ワインに含まれるレスベラトロールがサーチュインタンパクに結合、活性化し、老化抑制効果が認められる。フレンチパラドックスの原因物質かも?と期待されたが、赤ワインに含まれるレスベラトロールは微量である。
アミロイドβタンパク(Aβ)には、Aβ/40とAβ/42の2種類がある。
Aβ/42は、重合能及び神経毒性強く、これらが脳内凝集、蓄積がきっかけとなって神経原線維変化、神経細胞脱落、認知症が引き起こされる。
Aβ/40は、抗酸化力、Aβ/42凝集阻害効果により神経保護作用を発揮する。