mRNAワクチンの衝撃 ジョージ・ミラー、エズレム・テュレジ、ウール・シャヒン著 2021年12月早川書房刊

(目次)

はじめに

第1章 アウトブレイク

第2章 プロジェクト・ライトスピード

第3章 未知数

第4章 mRNAバイオハッカー

第5章 試練

第6章 同盟締結

第7章 初めての臨床試験

第8章 自分たちで

第9章 効果あり!

第10章 新たな常態

エピローグ

 

 2020年1月24日、ウール・シャヒンは武漢からのレポートをインターネットで発見。今回の病原体が完全に健康な人と人の間を、ひっそりと移動すること、武漢の人口が1100万人以上で、世界的ハブ都市とつながっていることから、最良のシナリオでも世界の死者200万人を予想した。

 1月27日、プロジェクト・ライトスピード始動

 ビオンテックは、4種の合成mRNA保有(uRNA,modRNA,saRNA,taRNA)

 スパイクタンパク質全体または受容体結合ドメインのわずかに異なる様々なバージョンをコードした4種の合成mRNAを、さまざまな投与量で並行して試験を進めることで開発スピードを図った。

 第1相試験ではmRNAのプラットフォームごとに少なくとも1つの製剤を試すこと、及び同じプラットフォームの中にスパイクタンパク質そのものをコードする候補と受容体結合ドメインをコードする候補にそれぞれ同様の試験を行うという方針を立てた。

 その結果、第1相試験では、uRNA1種,modRNA2種(スパイクタンパク全体と受容体結合ドメイン),saRNA1種の4つが選ばれた。

 4月16日、試験準備終了のとき、BNT162B2.9の新データが届き、同じmodRNAベースのBNT162B2.8よりはるかに優れた抗体反応を示した。そこで、ウールは、B2.8からB2.9に差し替えて試験の対象とすることを決断した。

 これが、現在のビオンテック/ファイザー社製のワクチンである。