生物はなぜ死ぬのか 小林武彦著 2021年4月講談社刊

(目次)

はじめに

第1章 そもそも生物はなぜ誕生したのか

第2章 そもそも生物はなぜ絶滅するのか

第3章 そもそも生物はどのように死ぬのか

第4章 そもそもヒトはどのように死ぬのか

第5章 そもそも生物はなぜ死ぬのか

 

死は進化がつくった生物の仕組みの1つである。

生物は激烈な環境変化に多様性で対応してきた。そのためにたくさんの試作品をつくり、その材料として古い生物を壊して再利用するという仕組みをつくり出した。それが死である。

子は親よりも多様性に満ちている。したがって、親が死んで子が生き残るほうが種の戦略として正しい。

子を産みっ放しにできない生き物の親は、子が自立できるようになるまではこの世話をすることが必要である。

ヒトにとって、死の恐怖は共感で繋がり、それまで幸福感を与えてくれていたヒトとの絆を喪失する恐怖であり、それは共感で繋がっていたヒトが亡くなった場合も同じである。

その悲しみを癒す別の何かがその喪失感を埋めるまで、悲しみは続く。

死自体はプログラムされていて逆らえないが、年長者が元気で長生きし、社会基盤をつくることに寄与できることは、社会全体にとってプラスになる。