(目次)
はじめに
1章 グローバリズムの終焉
2章 日本と世界を滅ぼす株主資本主義
4章 公益資本主義とは?
5章 公益資本主義の12のポイント
6章 公益資本主義・実践編~モノづくり最適国家の実現
・公益資本主義とは、企業の事業を通じてその企業に関係する経営者、従業員、仕入先、顧客、株主、地域社会、環境、そして地球全体に貢献するような企業や資本主義の在り方
⇐具体的に何なのか、さっぱりわからん
・公益資本主義は、①中長期投資、②社中分配、③企業家精神による改良、改善
⇐①中長期投資は、投資家がそのような行動をとれば済むことであって、公益資本主義の価値を裏付けるものではない。
②の社中分配とは、企業の関係者に利益を公平に分配することらしい。実際にどういう運用をするのかわからない。
③企業家精神による改良、改善も別に公益資本主義の価値を裏付けるものではない。
・公益資本主義の3指標は、①富の分配における公平性、②経営の持続性→内部留保の重視、③事業の改良、改善性
⇐指標というからには数字的なものが必要なはずだが、何の説明もない。
・公益資本主義の12のポイント
①会社の公器性と経営者責任の明確化
→経営者と取締役会は、従業員、顧客、取引先、株主、地域社会、地球環境などすべての関係者に対して責任をもつことを明文化
⇐「責任をもつ」ことからどのような具体的な「義務」を生じるのかが明確でない。
そもそも企業が株主のものであるということと、企業が社会的責任を負うということは別の概念であって、両立するのではないかな?
②中長期株主の優遇
→配当増と同じ割合だけ従業員の給与や内部留保を上げる。
株主としての権利を行使できるのは、5年以上保有している者に限る。
⇐前者は株主の配当と従業員の給与を同列に扱うのはどうかな?逆も真なりで、配当減は企業を支配している者が決めると、少数株主(大多数の株主)は何もできない。それと同様の割合で従業員の給与を減額していいのか?という話である。当然に労働組合との交渉を経なければならないでしょう。
⇐後者は、配当を受ける権利も株主としての権利(受動的な権利)だけど、そこまでは言ってないのだろう。たぶん、能動的な株主としての権利を指しているのだろうが、どうなんだろうね?
③にわか株主の排除
→超高速取引に対する規制、取引税の課税
⇐これ自体は、株主資本主義とは直接関係ないのではないかな?
④保有期間で税率を変える
→5年間保有は、税率5%、10年間以上は税率0%
⇐まあ、いいと思うけど、そもそも株主資本主義の本家とされているアメリカですら保有1年以内のキャピタルゲイン税は39.6%であることを踏まえると、これも株主資本主義とは関係のない事柄ではないのかな?
⑤ストックオプションの廃止
→株式公開後に経営陣に与えることを禁止
日本のストックオプションは、退職金の代わりに制度設計されているのもあるので同一には語れない。
⇐アメリカでも、スタートアップでは、低い賃金を補うものとしてストックオプションが付与されている。これも同一には語れない。要するに、ストックオプションの使い方の問題であって、株主資本主義云々の問題ではない。
⑥新技術、新産業への投資の税金控除
⇐別に悪いことだとは言わないけれども、株主資本主義とは関係ないんじゃないかな?
⑦株主優遇と同程度の従業員へのボーナス支給
→税引後利益の株式の配当と自社株買いへの充当資金の10%を従業員に分配する。
(例)税微意後利益の168%を株主に回すなら、その10%の16.8%を従業員に還元する。
⇐何をどうしたいのかわからない内容である。税引後利益の50%を株主に還元するのは配当性向50%であり、問題にするような内容ではないだろう。では100%はどうなのか?この時は10%を従業員に還元すべきなのか?どこから⑦を発動するのか?
→分配公平性スコア:自己資本/社中分配前総利益
持続性スコア
⑨四半期決算の廃止
⇐投資家は企業の業績に応じて投資するのであって、1年間経過しないと業績動向がわからないというのは困るね。別に短期投資をしたいわけじゃない。中長期で投資したいのだけれども、業績が悪化したら、可能な限り早く撤退したいわけで、そのチャンスを1年間に1回しか与えられないということは、業績の悪化の程度のその分だけ大きくなるわけだから、投資家の利益を損なうわけだ。
⓾社外取締役制度の改善
⇐株主資本主義とは直接関係ないのでは?
⑪時価会計原則と減価会計の見直し
→投資家にとって最高のルールだが、時間をかけて無から有を生み出そうとする事業家にとっては最悪のルール
⑫日本発の新しい経済指標
→研究中
以上のとおりであり、株主資本主義を形づくる独自の概念らしきものはないし、その目指すところも支持できない。