世界インフレの謎 渡辺努著 2022年10月講談社刊

(目次)

第1章 なぜ世界インフレになったか

第2章 ウイルスはいかにして世界経済と経済学者を翻弄したか

第3章 「後遺症」としての世界インフレ

第4章 日本だけが苦しむ「2つの病」

第5章 世界はインフレとどう闘うのか

 

 著者は、現在の世界のインフレが供給側にあると言いたいらしい。まあ、それ自体は間違いではない。ただ、それだけとも言えないだろう。まず、パンデミックによる不況を克服するためにヘリコプターマネーがばらまかれたし、中央銀行による債券の買い上げも行われた。

 サプライチェーンも寸断されて、供給力が減少した面もあるし、中国のゼロコロナ政策による生産停止の影響も大きかった。

 原油は、地球温暖化対策としての再生エネルギーシフトを背景に、長期間原油探索への投資が絞り込まれた。そのために、原油の供給力が落ちた。

 ロシアのウクライナ侵攻も、要因の一つには違いない。