開かれたパンドラの箱 老化・寿命研究の最前線 今井眞一郎著 2021年7月朝日新聞出版刊

(目次)

プロローグ

1章 細胞の老化と不死化

2章 米国へ

3章 サーチュイン

4章 独立

5章 NAD合成酵素の不思議

6章 世界の老化研究最前線

7章 細胞老化

8章 食事と運動

9章 老化研究の難しさ

10章 日本の今後を考える

エピローグ

 

 細胞老化の本質は、染色体上に分布しているヘテロクロマチン・アイランドのユニット構造が緩み、同時に別の場所に再配置されることにある。(ヘテロクロマチン・アイランド仮説)

 哺乳類では、NAMPT(酵素)がニコチンアミド(ビタミンB3の一種)をNMNに変える。eNAMPTは、脂肪組織から細胞外小胞EVsの中に封入されて血液中に分泌される。

 ある時点での老齢マウスの血液中のeNAMPT量は、その後の寿命と強い相関関係がある。また、若いマウスのeNAMPTをたっぷり含んでいるEVsを1週間に1回、3か月間注射すると、最大寿命が16%、中間寿命(健康寿命)が13%延びた。

 ベビーアスピリンとは、低用量アスピリン錠剤で8mg/錠のことで、心血管疾患、大腸がんの予防効果が証明されている。(日本は処方箋が必要。薬局は500mg~1500mg)著者とその妻は20年間近く服用している。

 オリエンタル酵母工業は高品質NMNを開発し、新興和製薬(現ミライラボバイオサイエンス)は2015年、高品質NMNを製品化した。

 糖尿病の前段階にある55歳~75歳の女性に、NMNを毎日250g10週間投与したところ、骨格筋においてインスリン感受性の指標が25%向上したが、脂肪、肝臓では改善がなく、血糖値も変化がなかった。