(目次)
序章 国内力学が決める対外行動
第1章 現代中国の世界観
第2章 中国人を規定する伝統的世界観
第3章 対外関係の波動
第4章 政経分離というキメラ
第5章 先走る地方政府
第6章 海洋問題はなぜ噴出したか
終章 習近平とその後の中国
「中国のすべての陸上国境問題を検討したMITのテイラー・フレイヴェルによれば、中国はこれまでの交渉の中で、係争地域の半分以上の面積を相手方に譲り、清王朝の最大版図のうち340万平方キロメートルを放棄している。」
「インドの外交研究所のサナ・ハシミは、中国は小国には大きな譲歩を行い、外交上の味方を増やそうとするが、自国への服従が期待できず、ライバルとみなす隣国には強硬な姿勢で臨むと分析する」
「どちらの研究からも、中国が領土について、とくに強欲という結論は導き出せない。中国は、一般原則として、各国の主権を平等とする近代主権国家体制を受け入れ、それにかなり忠実である。」
著者は、東大院卒の中国問題の専門家。一方、先の「驚きの世界史」の著者は、関西学院大卒の歴史ブロガー。本書の論理は精緻である。細部はよく見えている。しかし、根本的なことを見失っていないだろうか?