敗者の生命史38億年 稲垣栄洋著 2019年3月PHP研究所刊

(目次)

・プロローグ 敗者が紡いだ物語 38億年前

・競争から共生へ        22億年前

・単細胞のチーム・ビルディング 10億~6億年前

・動く必要がなければ動かない  22億年前

・破壊者か創造者か       27億年前

・死の発明           10億年前

・逆境の後の飛躍        7億年前

・捲土重来の大爆発       5億5千万年前

・敗者たちの楽園        4億年前

・フロンティアへの進出     5億年前

・乾いた大地への挑戦      5億年前

・そして恐竜は滅んだ      1億4千万年前

・恐竜を滅ぼした花       2億年前

・花と虫の共生関係の出現    2億年前

・古いタイプの生きる道     1億年前

・哺乳類のニッチ戦略      1億年前

・大空というニッチ       2億年前

・サルのはじまり        2千6百万年前

・逆境で進化した草       6百万年前

ホモ・サピエンスは弱かった  4百万年前

・進化が導き出した答え

・あとがき 結局、敗者が生き残る

(要点)

 38億年に及ぶとされる悠久の生命の歴史の中では、最終的に生き残ったのは常に敗者の方であった。襲い来る過酷な環境を乗り越えて、生命のリレーをつないできたのは、生命がエラーをする存在だったからである。

 38億年前、地球に生命が現れた頃、大気の主成分は二酸化炭素だった。しかし、27億年前に、酸素という猛毒が地球上に現れた。シアノバクテリアが、光合成を利用して糖を生成する過程で、酸素を排出した。(大酸化イベント)ミトコンドリアの祖先が、酸素を体内に取り込んで、生命活動を行うようになった。

  単細胞生物(真核生物)は、餌となる単細胞生物を細胞内に飲み込んで消化するが、取り込まれた単細胞生物が消化されずに、その細胞内で生き延びた。〔細胞内共生:ミトコンドリア葉緑体の起源)真核生物は、もともと核を持っていたため、他の単細胞生物を無理なく取り込めた。

 群体‥分裂した細胞が寄り集まることで、細胞の集団が強化される。

 多細胞生物‥細胞が集まって、1つの集合体を作る。1つの生命活動を行う。

 ミトコンドリアと共生を始めた単細胞生物のうち、あるものが葉緑体の祖先となる生物をとりこんだ。(植物の祖先)

原核生物

 ⇒ 真正細菌バクテリア) ⇒ 乳酸菌、大腸菌コレラ菌

 ⇒ アーキア古細菌) ⇒ メタン細菌、鉄細菌、コレラ菌、枯草菌

    ⇒ 真核生物

       ⇒ 動物 ‥ 消費者

       ⇒ 植物 ‥ 生産者

       ⇒ 菌類 ‥ 分解者 植物、動物の死骸を分解

 

 オスとメスがいるのは、子孫を残すためではない。単細胞生物には雌雄の区別はない。その意味では、男と女は、エネルギーと時間を必要とする無駄なシステムとなる。しかし、環境の変化を乗り越えるには、性質の異なる個体を増やす方が優れており、自分と異なる子孫を残すには、他の個体から遺伝子をもらうほかない。

 元々、生物に作られたのは、メスの配偶子(卵子)とオスの配偶子(精子)である。卵子は大きいほうが栄養分を豊富に持てるが、移動しにくい。精子は、自らが動いて他の配偶子のところに行くわけで、小さいことで生存率は低くなるが、移動することを優先した。

 遺伝子を交換することで新しいものを作り出すのが「生」であり、新しいものができたのだから、古いものをなくしていくのが「死」である。「死」も、生物の進化、性というシステムの発明により導き出されたものである。

・38億年前 、直径数百kmの小惑星が地球に衝突、地温4千度、すべての海の水が蒸発(海洋全蒸発:地球に生命が生まれて最初の危機)

   ‥命をつないだのは、地中奥深くに追いやられていた原始的な生命

 

全地球凍結(スノーボールアース

・23億年前

 ⇒ 真核生物出現

・スターシアン氷河期(7億2千万年前)

 ⇒多細胞生物(エディアカラ生物群)出現(クラゲ、イソギンチャク )

  餌を食べるための口と排泄物を出す器官が同じ

・マリノアン氷河期(6億3千年前)

 ⇒ カンブリア爆発:現在の分類学で動物門となる生物の基本形が出揃う

カンブリア紀(5億2千万年前~):エディアカラ生物群の多くが絶滅

 ・捕食者の出現 ⇒ 各生物の防御手段発達:固い殻等 ⇒ 捕食者の武器進化

 ・目の発明 ⇒ 情報収集に有効

古生代ホルドビス紀末(4億4千万年前):オウムガイ、三葉虫が躍進、種の84%絶滅

古生代デボン紀後期(3億6千万年前):種の70%が絶滅

 ⇒ シダ植物の森、昆虫出現、両生類上陸

古生代ペルム紀末(2億5千万年前):巨大両生類、爬虫類絶滅、種の96%が絶滅

中生代三畳紀(2千5千万年~2億1千万年前)

 ⇒ 超大陸パンゲア分裂、地中から二酸化炭素、メタン大量噴出

 ⇒ 気温上昇、酸素濃度著低下

 ⇒ 低酸素環境に対応した爬虫類が繁栄、恐竜へ進化

白亜紀(1億4千万年~65百万年前):種の70%が絶滅

 ⇒ ユカタン半島に隕石衝突、大規模森林火災発生、粉じんが地球全体を覆い寒冷化

 ⇒ 恐竜は、恒温動物で体温を保つため大量の餌が必要 ⇒ 

 

・旧口生物:外骨格発達 ⇒ 固い殻で身を包む:エビ、カニ、昆虫

・巨大な節足動物が生態系の頂点に立ち、海を支配

・体の中の脊索(硬い筋)を発達させて、体を支える ⇒ 内骨格 ⇒ 脊椎動物

・5億年前、マントル対流により、巨大な陸上が出現

・4億7千万年前、植物(緑藻類)が陸上(水辺)進出:体の表面から水分、養分を吸収

・シダ植物:茎、堅い表皮(乾燥に耐える)、根(水分を吸収)が発達。

      受精に水が必要で、水際から遠く離れられない

裸子植物:5億年前(ペルム紀に出現)種子を作り、乾燥地帯に進出

      種子は固い皮に守られているので、乾燥に耐えられる

被子植物ジュラ紀白亜紀(2億8百万年~65百万年前)に出現

      胚珠が子房に包まれているので、受粉前に胚を成熟させる

      ⇒ 受粉~受精完了の期間が短い ⇒ 世代交代(進化速度)が速い

(まだ、残っているがこの辺で止める。疲れた!)